AI活用ガイド

ChatGPT・Geminiで
IR資料を要約して銘柄分析する方法

決算短信や有価証券報告書は情報量が多くて読むのが大変——そんなときに役立つのがAIです。ChatGPTやGeminiでIR資料を要約し、銘柄分析に活かす手順を、コピペで使えるプロンプト例とあわせて初心者向けにわかりやすく解説します。

AIで銘柄分析はどこまでできる?

ChatGPTやGeminiといった生成AIは、大量の文章を読んで要点を整理するのが得意です。企業が公開するIR資料(決算短信など)をAIに読ませれば、専門用語だらけの資料も短時間で要点をつかめます。

ただし、AIは万能ではありません。数字を取り違えたり、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を出したりすることがあります。AIは「読む時間を短縮する補助ツール」と位置づけ、最終的な数字や判断は必ず自分で確認することが大前提です。

本記事は、AIを使った情報整理の方法を紹介するものです。AIは投資助言を行うものではなく、出力に誤りが含まれることがあります。投資の最終判断は、一次情報を確認のうえご自身の責任で行ってください。

銘柄分析に使う主なIR資料

IR資料とは、企業が投資家向けに公開する情報のこと。AIで分析するときに使う代表的な資料は次のとおりです。

銘柄分析に使う主なIR資料と入手先
資料 何がわかる 主な入手先
決算短信 直近四半期の業績速報(売上・利益・見通し) 各社IRページ/TDnet
決算説明会資料 図表で業績の要点や戦略をわかりやすく解説 各社IRページ
有価証券報告書 詳細な財務情報・事業内容・リスク情報 EDINET/各社IRページ
適時開示 業績修正・配当などの重要なお知らせ TDnet
中期経営計画 中長期の目標・成長戦略・株主還元方針 各社IRページ

※TDnet(適時開示情報閲覧サービス)はJPX、EDINETは金融庁が運営する開示システムです。まずは各社の公式IRページから探すのが基本です。

AIで分析する4つのメリット

読む時間を大幅に短縮

数十ページの資料も、要点だけなら数分で把握。複数銘柄を効率よくチェックできます。

専門用語をやさしく解説

ROEや営業利益率などの難しい言葉も、その場で初心者向けに説明してもらえます。

見落としを減らせる

「リスク要因」「ガイダンス」など観点を指定すれば、抜けやすい論点も拾えます。

複数社・前年と比較しやすい

同じ観点で表にまとめてもらえば、他社比較や前年比較が一目でわかります。

ChatGPTとGeminiの特徴を比較

どちらもIR資料の要約に使えます。大まかな特徴は次のとおりです(使える機能はプランや時期で変わります)。

ChatGPTとGeminiの特徴比較(一般的な傾向・2026年6月時点)
観点 ChatGPT Gemini
提供元 OpenAI Google
PDF等の読み込み 対応(プランによる) 対応
長い資料の扱い 長文の要約が得意 大きな文脈の処理に強い
最新情報の検索 Web検索に対応(プランによる) Google検索と連携
連携・拡張 各種ツール・カスタムGPT Googleサービス(ドキュメント等)
向いている使い方 対話で深掘り・要約 検索+要約・Google連携

※両サービスとも機能の更新が頻繁です。最新の対応状況・料金は各公式サイトでご確認ください。

IR資料をAIで分析する6ステップ

STEP 1

分析する資料を集める

分析したい企業の決算短信や決算説明会資料を、各社IRページやTDnet・EDINETから入手します。まずは図表の多い「決算説明会資料」から始めると取り組みやすいです。

STEP 2

AIに資料を読み込ませる

ChatGPTやGeminiにPDFをアップロードするか、本文をコピーして貼り付けます。ファイルのアップロードに対応していない場合は、必要な部分のテキストを貼り付けて使います。

STEP 3

要約プロンプトで全体像をつかむ

「初心者向けに要約して」と頼むだけでなく、業績ハイライト・増減益の要因・見通しなど出力の形式を指定すると、欲しい情報が整理されて返ってきます。プロンプト例は次の章を参照してください。

STEP 4

深掘り質問で要因・リスクを掘る

要約のあと、「なぜ利益が増えた?」「リスクは?」と追加で質問します。会話を続けて掘り下げられるのがAIの強み。資料に書いていないことは「記載なし」と答えるよう指示すると安心です。

STEP 5

他社・前年と比較する

同じ業界の別の会社や前年の資料も読み込ませ、同じ観点で表にまとめてもらいます。比較することで、その企業の強み・弱みが立体的に見えてきます。

STEP 6

一次情報で裏取りする(最重要)

AIの要約は出発点にすぎません。売上・利益などの重要な数字は、必ず元の資料で確認します。AIの出力をそのまま信じず、原典と照らし合わせる習慣をつけましょう。

コピペで使えるプロンプト例

そのまま使えるプロンプトの例です。〔 〕の部分を自分の調べたい内容に置き換えて使ってください。

要約プロンプト

あなたは株式アナリストです。添付した決算短信〔会社名・対象期〕を、投資初心者にもわかるように次の形式で要約してください。 ①業績ハイライト(売上・営業利益・純利益と前年同期比) ②増益または減益の主な要因 ③セグメント別の状況 ④通期見通し(ガイダンス)と進捗率 ⑤経営陣が強調しているポイント ※数値は資料に記載のもののみを使い、推測や創作はしないでください。

深掘りプロンプト

先ほどの内容について、次の点を教えてください。 ・利益が増えた/減った理由をもう少し詳しく ・注意すべきリスクや弱み ・前年と比べて改善した点・悪化した点 資料に記載がない場合は「資料に記載なし」と答えてください。

他社比較プロンプト

添付した〔A社〕と〔B社〕の決算資料を比較し、売上成長率・営業利益率・自己資本比率・配当方針の観点で表にまとめてください。 どちらが優れているかの断定は避け、資料に基づく事実ベースで整理してください。

用語解説プロンプト

この資料に出てくる専門用語(例:ROE、営業利益率、フリーキャッシュフロー)を、中学生でもわかるように一つずつ、たとえを使って説明してください。

プロンプトで「資料の数値のみ使う」と指示してもハルシネーションを完全には防げません。出力された数字や固有名詞は必ず原典で確認してください。

分析でチェックしたい観点

AIに要約を頼むときも、自分で確認するときも、次の観点を押さえると分析の質が上がります。

  • 売上・利益の伸び(前年比・前四半期比)
  • 利益率(営業利益率などの推移)
  • 財務の健全性(自己資本比率・有利子負債)
  • ガイダンス(通期見通しと進捗率)
  • KPI・セグメント(事業ごとの状況)
  • 株主還元(配当・自社株買いの方針)
  • リスク要因(為替・原材料・競争環境)
  • キャッシュフロー(本業で稼げているか)

使うときの注意点・リスク

ハルシネーション(誤った数字)に注意

AIは資料にない数字を作ったり、桁や前年比を取り違えたりすることがあります。重要な数字は必ず元の資料で確認しましょう。プロンプトの工夫だけでは完全に防げません。

情報が最新でないことがある

AIの知識には時点の区切りがあり、最新の決算や開示が反映されていない場合があります。直近の情報は、資料を読み込ませるか公式の開示で確認してください。

未公開・機密情報は入力しない

分析に使うのは公開済みのIR資料だけに。未公表の情報や他人の個人情報、業務上の機密などをAIに入力しないよう注意しましょう。

AIは投資判断をしてくれない

AIは情報整理を助けるツールであり、投資助言ではありません。「買うべき?」と聞いても鵜呑みにせず、要約を出発点に最終判断は自分で行いましょう。

よくある質問(FAQ)

AIにIR資料を読ませれば自動で銘柄分析してくれますか?

要約や要点の整理、専門用語の解説は得意ですが、完全な分析を丸ごと任せることはできません。AIは数字を取り違えたり、もっともらしい誤り(ハルシネーション)を出すことがあります。AIは「資料を読む時間を短縮する補助ツール」と考え、重要な数字や結論は必ず原典で確認しましょう。

ChatGPTとGeminiはどちらがIR資料の分析に向いていますか?

どちらもPDFなどの読み込みと要約に対応しており、用途で使い分けるのがおすすめです。対話で深掘りしたいならChatGPT、Google検索やドキュメントとの連携を活かしたいならGeminiが便利です。使える機能はプランや時期で変わるため、両方を試して使いやすい方を選ぶとよいでしょう。

無料でもIR資料の要約はできますか?

テキストを貼り付けての要約は無料でも可能な場合があります。ただしPDFのアップロードや長い資料の読み込み、最新情報の検索などは有料プランや特定の機能に限られることがあります。利用前に各サービスの最新の提供条件を確認してください。

AIの分析だけで投資を決めてもよいですか?

おすすめしません。AIは投資助言を行うものではなく、出力には誤りが含まれることがあります。AIの要約はあくまで情報整理の出発点とし、一次情報で裏取りをしたうえで、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

AIが出した数字が間違っていることはありますか?

あります。AIは資料にない数字を作ってしまったり、桁や前年比を取り違えたりすることがあります。これをハルシネーションと呼びます。プロンプトで「資料に記載の数値のみ使う」と指示しても完全には防げないため、売上・利益などの重要な数字は必ず元の資料で確認しましょう。

※本記事の情報は2026年6月時点のものです。生成AIサービスの機能・料金・対応状況は頻繁に更新されます。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄やサービスへの投資・利用を推奨するものではありません。AIの出力には誤りが含まれることがあり、投資助言ではありません。投資はご自身の判断と責任において行ってください。最新情報は各社IRサイト、TDnet・EDINET、および各AIサービスの公式サイトでご確認ください。